ベティウイルソンは、愛の魔術師。
その美貌で男を弄び、今日は買い物。明日は海外旅行。
宝石ダイヤにネックレス。なんだって手に入る。
大人になれば、肌は煤けてくる。
その頃に、本物の愛を手に入れればいい。
そんなこともわからぬ純朴な人々を、彼女は笑う。
ご都合の愛? 愛はご都合よ。
そんなことも分からぬ可愛い羊たちを、彼女は笑う。
と、そこで彼女のチェックが入る。
正しくは、鼻をつまむにして欲しいわ、と。
歳をとったことが老けた大人になるということなら、彼女は大人になった。
そして、本物の愛を手に入れる。
もう色艶のない彼女を愛してくれる人は、そう多くない。
たった一人の、貧しき節制した愛。
彼女と遊んできた人々、彼女に遊ばれた人々、彼女に遊ばれなかった人々、彼女が弄んだ人々。
ありとあらゆる人々が、彼女をポカンと見つめる。
彼女は、意外と賢い選択をしてきたのではないか、と。
「ベティ、愛はマナーだ。君の輝かしい履歴と、僕の働けなかった履歴。どっちが本当に美しいと思う?」
と、彼女に弄ばれた男。
「テーブルマナーなら、私も得意だわ」
彼女は老いた身体で、フォークとナイフをキュキュッと滑らせ、お気に入りのステーキを平らげるのだった。
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